研究成果

これまでに創出した成果をご紹介します。

サブ課題B 成果例009

物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点
  • 館山 佳尚、飯塚 将太

【H29年度】stat-CPMDの高度化

 多数ノードを用いた化学反応自由エネルギー第一原理計算をターゲットとする基盤アプリ「stat-CPMD」の高効率化には、FFTなどの電子状態計算カーネルの効率化による第一原理計算自身の高速化と、高次並列化による並列サンプリングの効率化の二本立てのアプローチが必要となる。
 前者に関しては、FFTに関する工夫を施すことで「京」において17%程度のスピードアップを図り、かつ研究目標である5000原子以上の系に対する第一原理計算の実施に成功した。その際、多数原子系に伴う計算値の桁落ちという副作用にも直面したが、原因究明と解決策の導出を行い、多数原子系における安定な第一原理サンプリングが可能となった。また高次並列化の一環としてファイルシステムのI/O並列化などを実装し、MPI通信負荷や親プロセスのメモリ負荷の軽減を行った。これによりメモリ制約がさらに厳しくなると予想されるポスト「京」に対しても、大規模計算に対する制限を大幅に回避できると予想される。
 さらにデータ駆動型AI解析に向けた、溶液・被膜構造の高効率データベース作成への適用も進めている。

stat-CPMD:高度第一原理サンプリングプログラム