サブ課題C 成果例018
自然科学研究機構 分子科学研究所
- 奥村 久士、伊藤 暁、石村 和也
【H30年度】メタンハイドレートの溶融や貯蔵に向けた新規技術の理論
超音波をかけることによるメタンハイドレードのメカニカルな溶融のシミュレーションを行うための分子動力学計算アプリにおいて、演算と通信のオーバーラップ、プロセス間通信パターン改良による通信時間削減アルゴリズムを開発し実装した。エネルギー計算1回当たりの通信時間がほぼ半減した。さらにノード内並列化効率を高めるため、ノード内計算負荷分散改良アルゴリズムを開発した。
「京」のハードウェア及び診断ツール(基本プロファイラ、詳細プロファイラ)を使い、MPI通信パターンごとのデータ転送量と時間、サブルーチンごとの実行時間を調べながら開発を行うことで、演算と非同期通信のオーバーラップ構成を最適化した。計算全体だけではなく一部区間のみの測定も行い、演算時間を詳細に解析してオーバーラップ可能な領域を特定して、効率的に改良を行うことができた。その結果、演算時間にはほとんど影響を与えることなく通信時間を大幅に削減することができた(表1)。
通信性能と演算性能の比率を考慮すると、ポスト「京」では通信がボトルネックになりやすいが、本年度の改良により、ポスト「京」での通信時間の割合増加による並列化効率低下は大きく抑えられると考えられる。