サブ課題C 成果例017
北海道大学 大学院理学研究院
- 武次 徹也
物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点
- Andrey Lyalin、坂牛 健、魚崎 浩平
【H30年度】非白金系燃料電池触媒の高機能化
より出口を指向した課題として、実験と連携して窒素ドープ炭素材料の酸素還元反応(ORR)への触媒活性における窒素ドープの効果を詳細に調べた[1,2]。窒素ドープ炭素触媒を表すモデルとして12×12スーパーセルからなるグラフェンの中に約1.5nmの細孔を導入し、様々な形で窒素ドープを行ってORR中間体の吸着状態に対しDFT計算を行った。その結果、グラファイト位置に窒素をドープした炭素触媒における小さな細孔のジグザグ状のエッジが活性サイトであることが示され、さらに窒素ドープ量について0.4原子%(ピリジン位置またはグラファイト位置に窒素原子を1つドープ)から7.3原子%(グラファイト位置に窒素原子を均一にドープ)まで変化させその効果を調べたところ、最初のプロトン共役電子移動(PCET)が電位を決める素過程であり、吸着酸素分子の構造と窒素ドープの様式が反応経路とORR活性に繊細に影響することが示された。本研究により炭素材料が微量な窒素導入で活性な酸素還元電極触媒になる仕組みが明らかとなり、NIMS-北大の合同でプレス発表を行った(図1)[1]。