研究成果

これまでに創出した成果をご紹介します。

サブ課題C 成果例016

岡山大学 異分野基礎科学研究所
  • 田中 秀樹、松本 正和、矢ヶ崎 琢磨

【H30年度】ハイドレートが安定に存在できる条件

 ハイドレートが安定に存在できる条件を、分子間相互作用のみから計算する方法を提案し、それを幾つかの炭化水素や希ガスハイドレートに適用した。すなわち、van der Waals and Platteeuwに基づく統計熱力学理論を発展させて、ハイドレートとゲスト相もしくは水の2相共存条件を、自由エネルギー計算から求めることで、完全な相平衡の記述を行い、炭化水素や希ガスに適用した。この結果、炭化水素の安定な組成範囲は極めて多様であり、特にエタンが特徴的であることを発見した。また、水とハイドレートが共存するときのメタンの溶解度の温度依存性は、通常とは逆であることを示し、その原因がメタンの化学ポテンシャルの急激な低下にあることを見出した(図1)。

図1. 水と共存するハイドレート(左)とメタンおよびエタンハイドレートの、温度、圧力、組成に関する相図

[1] H. Tanaka, T. Yagasaki, M. Matsumoto, "On the phase behaviors of hydrocarbon and noble gas clathrate hydrates: Dissociation pressures, phase diagram, occupancies, and equilibrium with aqueous solution", J. Chem. Phys. 149, 074502, 1-15 (2018).