研究成果

これまでに創出した成果をご紹介します。

サブ課題B 成果例017

東京大学 物性研究所
  • 杉野 修、笠松 秀輔、春山 潤、山本 良幸、Lei YAN

【H30年度】酸化物電極を用いた燃料電池電極材料の理論設計

 従来の第一原理DFT計算は白金表面上での水素の吸着エネルギーを過大評価し、高精度予測ができない。そこでRPA(Random Phase Approximation)法に基づく高精度計算手法を用いることにより、実験をよく再現できることを示した。また、吸着サイトが水素原子の量子効果によって主に決まる様子を、詳細に示した[1]。
 これに加えて酸化物系半導体電極が、なぜ白金を超える酸素還元反応活性を示すのかについて、ハイスループット計算に基づいてその可能性を示すことができた[2]。この計算の定量性を高め、より現実的な不純物分布の下で計算が可能になるように、ab initio MC法を開発した[3]。ab initio MDによるアプローチが固固界面では必ずしも有効ではないが、本計算手法ではポテンシャル障壁を乗り越えて速やかに熱平衡状態をサンプリングすることができることを示した。本計算手法はポスト京のような超並列機があって初めて実行可能となるものである。

貴金属表面と異なり、TiO2表面上の欠陥サイト(緑色)では酸素還元反応の中間体(O, OH)が複雑な構造をとる。これを利用して、活性を高めるための物質設計を行った。

[1] L. Yan, Y. Sun, Y. Yamamoto, S. Kasamatsu, I. Hamada, and O. Sugino, “Hydrogen adsorption on Pt(111) revisited from random phase approximation”, J. Chem. Phys., 149, 164702 (2018).
[2] Y. Yamamoto, S. Kasamatsu and O. Sugino, "Scaling Relation of Oxygen Reduction Reaction Intermediates at Defective TiO2 Surfaces", J. Phys. Chem. C 2019, 123, 19486−19492
[3] S. Kasamatsu and O. Sugino, “Direct coupling of first-principles calculations with replica exchange Monte Carlo sampling of ion disorder in solids”, J. Phys., 31, 085901 (2019).