サブ課題A 成果例026
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科
- 天能 精一郎、上島 基之、XU ENHUA、島崎 智美
神戸大学 システム情報学研究科
- 土持 崇嗣
【H30年度】酸化還元準位を定量的に求める方法論
Z-Scheme型人工光合成の材料を理論設計するためには吸収波長や酸化還元準位を定量的に求める方法論の確立は必須である。そこで紫外可視光吸収帯を有するABO3型ペロブスカイト半導体の価電子帯上端(VBM)、伝導帯下帯(CBM)、バンドギャップを定量的評価するために様々な計算手法を用いて電子状態計算を行い、網羅的な方法論の探索を行なった。バンドギャップを高精度に計算するためには重原子効果や多体相互作用を考慮しなければならない。そこでスピン軌道相互作用やオンサイトクーロン反発、HF交換項の寄与を比較し、密度汎関数理論GGA, HSE06, GGA+U,GGA+SOなどでVASPを用いてバンド計算を行なった。汎関数はHF交換項が含まれるHSE06がバンドギャップの1eV誤差内程度で定量的な結果を与えることがわかった。HSE06でスラブ模型を用いればバンド曲がりが定量的に計算可能ではあるが、計算コストが大きいため、材料のスクリーニングには適さない。一方、Butlerらの経験的手法はバンドギャップと電気陰性度から簡易にバンドの情報が求まる。
HSE06とXu ら電気陰性度パラメータを用いてバンドギャップ計算したところ、実験値を半定量的に再現し(図1)、本手法がスクリーニングに有効であると考えられる。