サブ課題A 成果例021
神戸大学 大学院科学技術イノベーション研究科
- 天能 精一郎
神戸大学 システム情報学研究科
- 土持 崇嗣
【H30年度】結合クラスター近似(ECCSD)法の研究開発
CCにスピン射影を用いる結合クラスター近似(ECCSD)法では大規模非線形方程式を解く必要があるが、一電子・二電子励起空間が過完備であり、物理的に意味のある波動関数を求めるためには、内包される零空間N(S)を取り除かなければならない。このためには通常、大規模行列Sの特異値分解が必須となるが、 Sは解こうとする非線形方程式そのものの次元を持つため一般に特異値分解は不可能である。N(S)は簡単な分子でも数十GB以上になり、メモリ上に確保できない。本成果では、零空間の射影方程式を導出し、これを小規模な部分空間内で解き、反復的に解を収束させていく新たな手法を開発した。これにより、今までメモリ・計算量の両面で実行不可能であった計算が非常に低コストで可能になり、ECCSDの適用範囲を大きく押し広げることに成功した。