研究成果

これまでに創出した成果をご紹介します。

サブ課題C 成果例009

岡山大学 異分野基礎科学研究所
  • 田中 秀樹、松本 正和、矢ヶ崎 琢磨

【H29年度】ハイドレートに対する速度論的阻害剤

 天然ガスや石油のパイプラインの中で、混入した水によりメタンハイドレートなどが生成してパイプを詰まらせてしまうことが知られている。これを防ぐ手段の一つに速度論的阻害剤がある。この速度論的阻害剤はハイドレート表面に吸着する。我々の分子動力学計算により、この阻害剤がハイドレートの様々な結晶面に吸着できることが明らかになった。これは、氷に対して類似の阻害機能を持つが特定の結晶面のみ吸着できる不凍タンパク質の機構とは大きく異なっている。さらに、吸着したハイドレートが表面の曲率を上げ、Gibbs-Thomson効果によって結晶成長を阻害するという機構を明らかにした。

速度論的阻害剤の一つであるPVCapにより凹んだハイドレートの表面

Yagasaki, T., Matsumoto, M. & Tanaka, H. Adsorption of Kinetic Hydrate Inhibitors on Growing Surfaces: A Molecular Dynamics Study. J. Phys. Chem. B, doi:10.1021/acs.jpcb.7b10356 (2017).