サブ課題C 成果例008
岡山大学 異分野基礎科学研究所
- 田中 秀樹、松本 正和、矢ヶ崎 琢磨
【H29年度】GenIceの開発
メタンハイドレートの資源化や海底へのCO2廃棄の実現には、その熱力学的安定性の評価が不可欠である。そのために、我々は温度(T )、圧力(P )、そしてゲストのモル分率(xg)を独立変数としてハイドレート生成条件を求める基礎原理と、それに基づいたソフトを開発した。
結晶の理論研究のためには、まずその構造を生成する必要がある。包接水和物や競合する氷のほとんどはプロトン無秩序結晶であり、その構造の生成は容易ではない。我々は、様々な包接水和物や氷の構造を容易に生成できる新しいアプリ、GenIceを開発し、これを公開した。
このソフトにより、信頼できる力場と統計熱力学的理論から、世界で初めてT-P- xg空間におけるメタンハイドレートの相図を描くことに成功した。これにより、ハイドレートと水もしくは氷との2相またはハイドレートとメタン流体の2相共存線を決定することがでた。その結果、ハイドレートの安定領域は、これまでに考えられていたよりも複雑な形状をしていることが明らかになった。