サブ課題B 成果例022
名古屋大学 大学院工学研究科
- 岡崎 進、篠田 渉、吉井 範行、安藤 嘉倫、藤本 和士、張 家超
【H30年度】MODYLASの高速化
MODYLASの計算は大きく分けてFMM計算部の演算と通信、対相互作用計算部の演算と通信とからなる。この中で、平成29度までにFMM演算に対して基底関数のsolid harmonicsへの置換、漸化式、多極子の対称性の利用、極座標軸の回転による単純化など新規アルゴリズムの実装を行い、相互作用直接計算において演算時間を約40%削減し、FMM演算の演算量を約1/6にまで削減し、演算時間も1/4に削減することに成功してきた。
平成30年度は、新規な通信アルゴリズムMTD法を開発し、これをMODYLASに実装することにより、相互作用直接計算、FMM計算共に通信時間を約50%削減した。一方で、計算精度の劣化を伴わない相互作用直接計算の単精度・倍精度混合演算化、またFMM計算の完全単精度化を行い、SIMDの有効利用、通信量の削減の目途を得た。また、プロトタイプコードにおいてFMM計算の正則化を行い、全エネルギー保存を格段に改善した。このように、1億原子系に対してMD計算1ステップを3msで実行する最終目標の実現に着実に近づきつつある。