研究成果

これまでに創出した成果をご紹介します。

サブ課題A 成果例032

東京大学 大学院工学系研究科
  • 山下 晃一、金子 正徳

【H30年度】大規模励起状態計算による光励起生成エキシトンの特性解明

 水分解光触媒の光誘起キャリア緩和機構解明に向けて、大規模励起状態計算により、光励起生成エキシトンの特性を解明した。d1型水分解光触媒として期待されるペロブスカイトSrNbO3について光学ギャップに関わる光励起のメカニズムを第一原理計算により明らかにした。金属的なバンド構造から表面プラズモンによる光励起エキシトン生成の可能性は否定できないが、Sr欠陥・O空孔によりフェルミ準位を変えることで光学ギャップを制御できること、またAサイトカチオン置換により光吸収が向上することから水分解光触媒としての可能性を示した。さらにペロブスカイト型酸窒化物BaNbO2Nを例にして、機械学習に基づいて、大規模スーパーセルにおけるアニオン配列を迅速に予測できることを示し、大規模第一原理計算と併用し、現実的な要素配置に基づいて複雑な組成を有する機能材料の特性を予測する手段を開発した(図1)。

図1. 機械学習で予測された5×5×5のスーパーセルにおけるペロブスカイト酸窒化物BaNbO2Nのアニオンオーダー

[1] Masanori Kaneko, Kenji Mishima, Koichi Yamashita,“First-principles study on visible light absorption of defected SrNbO3”, J. Photochemistry & Photobiology A: Chemistry, 375, 175–180 (2019)
[2] Masanori Kaneko, Mikiya Fujii, Takashi Hisatomi, Koichi Yamashita, Kazunari Domen, “Regression model for stabilization energies associated with anion ordering in perovskite-type oxynitrides”, Journal of Energy Chemistry, 36, 7-14 (2019)