研究成果

これまでに創出した成果をご紹介します。

サブ課題A 成果例017

理化学研究所 計算科学研究センター 量子系分子科学研究チーム
  • 中嶋 隆人、神谷 宗明、中塚 温、嶺澤 範行、米原 丈博、澤田 啓介、植村 渉、Rahul Maitra

【H29年度】分子集合系における光化学反応電子動力学の解明に向けた量子ダイナミクス法の構築

 励起電子が動的に変動する光化学過程の特徴を調べる上で実用的な理論計算手法の開発を進めた。
 任意数の分子の集合体における特徴的な局所電子励起状態を用意し、分子内/外/間の相互作用を自然に組み込んだ形で様々なパターンの励起直後に生じる電子ダイナミクスを計算する方法を新たに考案した。この方法では動力学を全系のFock,非断熱結合、光-電子相互作用、スピン・軌道相互作用演算子のGroup-Diabatic-Fock (GDF) 表現行列を用いて記述する。電子揺動性、電子受容性、電子供与性を持つ分子から構成される複合系に生じる電子ダイナミクス計算に本手法を適用することで、手法の有用性を示すことができた。

T. Yonehara, T. Nakajima, “A quantum dynamics method for excited electrons in molecular aggregate system using a group diabatic Fock matrix”, J. Chem. Phys. 147, 074110 (2017).